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特集!!|パワーワーク インタビュー「新たな未来を創る解体工事。正確な形をつくり上げるはつり工事。」(株)KU
建設業界の一線に立つ経営者 から建設業界を知りたい読者 へ
新たな未来を創る解体工事。正確な形をつくり上げるはつり工事。
解体工事は次に使われる資源を生む。はつり工事はコンクリートを正しい形につくり上げる。そう語るのは解体業の施工会社を営む榊原氏。解体・はつり工事の仕事と求める人物像を教えてもらおう!
(株)KU 代表取締役 榊原要氏 51歳
音楽活動をする中で生活のために始めた解体の仕事。そこから解体が本職となり現在に至る。
バンドではドラムを担当。ライブハウスの店長だった経歴を持つ。
解体現場の廃棄物は、再利用される新たな資源。作業技術と資源の分別ができて解体職人となる。
これから仕事を選ぶ読者に解体・はつりの仕事を教えてください。
解体工事というのは幅広い意味を持っていて、その中にはつり工事も含まれます。建物を丸ごと取り壊して無くす解体工事のほか、内装解体は躯体をそのままに残しつつ壁や天井など取り除く工事。そしてはつり工事は、躯体調整とも言うのですが、形を整えるために削る工事。まっさらに建物を無くす工事と形作る工事の違いがありますね。
はつりで使う道具は、コンクリートが相手なのでコンプレッサーを使ったブレーカー作業。細かく薄く数ミリ単位で削る電動ピック。ダイヤモンドカッターやサンダーなども使用してコンクリートを整形します。たまに現場の要望で振動や騒音、周りへの影響を与えたくない場合、ノミをつかった手作業もありますが、基本的には電動工具を使います。ウチでは新人に最初から電動工具を持たせ、真っ先に使いこなせるようになってもらいます。
住宅の解体現場は重機も重要なのですが、重機が現場に入る前の作業も大切です。木の部分をバールで手壊ししたり、LGSなど金属の建材の切断などです。重機が入ると、新人を含めたオペレータ以外の職人は、水を撒いて埃を抑えたり、廃棄物の仕分けが主な作業になります。
廃棄物の分別は建設業界でも重要視されていますね。
解体作業やはつりの技術と同じくらい、廃棄物の分別は解体業にとって非常に大切ですよ。回収された廃棄物は処理され、再び建築資材として利用されます。解体の現場から資源が生まれるんです。だから分別のため、作業をしながらも廃棄物を置く場所を整理していなければ、後々苦労します。また、解体の手順は安全のために重要ですが、手順があるから分別しやすくなるとも言えます。
解体工事に「全部壊して無くせば良いんでしょ?」と誤解している人も多いと思いますが、働き始めるとそう単純な作業じゃないことに気づくでしょう。最初は何も知らなくて当然。少しずつ仕事を覚え、理解する。そのうち解体業は、リサイクルや環境関連の仕事だと感じると思います。
成長を飛躍させるものは、仕事の理解とコミュニケーション能力。
新人が最初にやる仕事や覚えるべきことは何ですか?
初日にオリエンテーションで道具の使い方や安全についての説明をしますが、2日目からは先輩について現場に出て、最初から道具を持って覚えてもらいます。もちろん最初からうまくはできません。まずは道具を使いながら、何が危険なのかを知ってもらうことが目的です。現場によって作業はさまざまですが、安全はどの現場も共通で最優先事項です。
はつり工事での細かい作業など、器用さは重要なのでしょうか?
全然問題ありません。技術は経験によって自然と身に付きます。一人で現場に出るまでには1年くらいが目安。ただそれが一人前の職人だとは考えていません。当然現場で疑問にぶつかることはあるでしょう。分からないことは携帯電話で先輩に聞いたり、写真を撮って説明もできます。
独り立ちのポイントは、技術よりもコミュニケーション能力に寄るところが大きいですね。監督さんとの打ち合わせでは、言葉遣いだけでなくある程度の仕事の知識や仕事への理解が必要です。1年先輩に同行すれば大体分かるはずです。
コミュニケーション能力は、面接時にも見ているのですか?
そうですね。こちらの質問に対しての答え方、また疑問点の質問から意欲を感じます。
同時に口達者なだけな人も分かりますよ(笑)。例えば自分のアピールが強すぎる人は不安ですね。仕事のできる人は自分よりさらに上を知っているので過剰に自分を持ち上げることはしません。知らないことは知らないと言える。その中で自分の意見を持つ。そこに私は意欲を感じます。
意欲を持って技術を覚え、仕事を理解していくと、解体業は新たな資源を生み出す、そして未来を創る奥深い仕事だと感じるはずです。ただ、現場作業はどうしても稼ぎの面でも頭打ちになってしまう。従って最終的には、職人を管理する立場を目指してもらいたいですね。
今回の取材協力は……
(株)KU
TEL.042-306-8634
東京都府中市府中町3-3-9 ウェルズ桜通りE号室
◆設立:2009年9月
◆従業員数:19人
◆https://www.ku-kensetsu.com
新築のはつり工事をメインに解体工事全般を請け負う同社。エリアは1都3県。音楽レーベルを起ち上げるために設立した縁で、音楽活動をしている職人も多い。「家庭が第一優先。仕事はその次」という社長のため、有休取得率が高い。現在音楽事業は休止中。
POWER WORK 265号 2022.6.13発行 Photos/ Yuzo Matsutani, Composition/ ad-giga
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