■会社がコンクリート研磨を始めたいきさつを教えてください。

　コンクリート研磨による床施工はアメリカやヨーロッパで20、30年前に始まりましたが、当時、日本にはコンクリート研磨を手掛ける専門業者はいませんでした。

　今から16、17年前に、とある土間屋さんが沖縄の米軍基地内のコンクリート研磨の仕事を請け負ったのですが、ノウハウも無いのでうまくいきませんでした。ちょうどその頃、すでに青森から沖縄までの各基地で仕事を行っていた当社に「やってみないか」と声がかかりました。

　当社もコンクリート研磨は未経験でしたが、私は他の人ができて自分にできないことはないと思うんです。知識と経験がないからできないと決めつけてあきらめるのではなく、行動してやる、これが大事だと考えています。

　このような考え方をするので、コンクリート研磨の話をいただいたときも「うちがやります」といって手を挙げました。渡米して施工のための資格も取得し、研究も重ねて技術を確立。専用機材や資材の開発も行い、施工を可能にしました。

■やはり技術力は必要ですよね。

　そうですね。コンクリート研磨はコンクリート表面自体を磨いて床面を強固に仕上げる施工ですが、床を削りすぎてしまうともうアウト。元に戻すことが困難なので、すごく神経を使います。そこで、個人の技術力に合わせて番手を選んでいます。操作に慣れていないスタッフには、あえて削るスピードの遅い（目の細かい）番手を使わせています。作業スピードは落ちますけどね（笑）

　技術を習得するには、3年程度かかります。当社のスタッフのほとんどは未経験スタートですが、根気強く育てています。若いスタッフには、技術だけでなく、社会人として生きていくために必要な知識もしっかりと教えています。

■これからの活動について教えてください。

　現在、欧米諸国でビジネスを展開していますが、並行して、アジアでコンクリート研磨の協会を作るために動いています。アジア各国の仲間とリモート会議を行い、設立に向けて準備を進めています。コンクリート研磨のライセンスを発行する事務局としての機能を持ち、機械や資材に関する情報交換の場になることを目標にしています。

　また、宇宙分野にも注目しています。将来、月や火星などに人が移住し、宇宙で建設技術が必要になる可能性があります。こうしたことを見越して、大学教授の方と意見を交わしています。教授とは、砂漠に建物を建てるための技術についても話していて、具体化を目指しています。

　さらに最近では、新規事業として農業も始めましたよ。

■若い人にメッセージをお願いします。

　学歴なんて一切関係なし！　誰かにできて、自分にできない事は無い！　途中で投げ出したり、あきらめなければ必ず報われるはずです。ホントにこれだけだと思います。