鉄筋工
髙成 政次(45歳)
東京都出身。中学を卒業後に父親の会社に就職。外の世界に興味を持ち、鍛冶工と土木工を経験するが、結局鉄筋の仕事へ。他社で経験を積んだ後、6年前に戻り社長となる。
髙成鉄筋
首都圏が主なエリアで、新築マンション建設の現場が多い同社。数年内での法人化に向け、新たな仲間を増やすことが目下の課題。自然体で働ける会社にしたいという。
◆ 080・1194・0741
◆ 東京都北区豊島7-12-20
◆ 創業1970年 ◆ 従業員数1名
完成したときには見えなくなる。しかし鉄筋工の仕事が建物を支えていることは周知の事実。表面からは決して見えない強固な芯。髙成の芯には鉄筋工の誇りがあった。
「父や兄など、身内から仕事を教えられることに、若かった自分は反発したくなっちゃんたんだよね。それで飛び出して別の仕事に行ったんだ。それなのに結局、鉄筋の現場に戻ってきた。2回も繰り返したんだから理屈じゃないんだよね。体で覚えていた鉄筋工の仕事。建物が完成したら見えなくなっちゃう部分だけれど、だからこそ見えない部分で建物を支えている凄さ。父親からは厳しく作業を教えられたけれど、その意義もいつの間にか叩き込まれていたんだね」
鉄筋工の辛さは知っていた。むしろ今でも厳しい仕事だと髙成は感じている。
「雨や雪。夏の暑さ。これらの辛さは今でも慣れないね。若い人だって苦しいよ。でも強がって平気なフリをする必要なんてない。自分の選んだ道だから、ちょっと我慢して受け入れる。するとその先に自分が鉄筋工である理由が見えるはずだよ。俺と同じように」
鉄筋が建物を支えている自負が、表面的な厳しさを些末なものに感じさせる。自分を偽る必要はない。ゴールには遥かに大きい充実感があるのだから。
POWER WORK264号 2022.5.30発行
Photos/ Mahoro Shimizu, Composition/ ad-giga
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