建設業界で感じられる魅力を教えてください。

　プラント配管の溶接など設備に関わるモノづくりの仕事として、完成したときの達成感は最も強いです。それと同時に欠かせないものが、大勢の人と一緒に仕事をすること。仲間が増える楽しさがあります。

　人それぞれに異なる個性をまとめ上げて一つの仕事を進める。それぞれに異なる得意な技術、そして好き嫌いを含めた個性を活用してこそ良い仕事が可能です。技術は誰でも上達するもの。私たちは高いレベルの技術はもちろん当然として、人としても信頼される仕事を目指し、結果を残してきました。大手との仕事では高い品質だけでなく、そこで働く職人の身なりや態度も要求されます。技術だけでなく人間性も非常に大切なんです。

仲間が増えるほど、人間性にまで目を配るのは大変ですね。

　大変ですね（笑）。ただ今の時代、建設業の職人志望であっても一般的なサラリーマンと変わらず、身なりや態度に気を付けた人も増えているように思います。その中での育成なので、確かに大変ではありますが、将来が非常に楽しみなところです。

　また弊社は、会社も従業員も若いこれからの会社。お客様との信頼関係もこれから強くする必要があります。現時点での無理に背伸びをした信用ではありません。私たちがつくるものは10年、20年と利用されるものなので、10年、20年先の信用を確実なものにすることを第一に考えています。そのためにも仲間を増やすことは、現在の課題の一つ。これから5年未満での東京の拠点開設を始め、全国の工業地域に拠点を築きたいと思っています。

御社において、溶接工に必要と思われることを教えてください。

　モノをつくる際に不可欠である図面を読む力。次に金属の違いに則した溶接の違いを考えられる知識。3つ目は、完成までの工程が頭の中で順次に思い描けること。これら図面読解力、知識、想像力のどれか一つが欠けていたら、例え溶接作業が特別にうまくても製品を完成させることはできないか、できたとしても赤字になってしまいます。

溶接技術も重要ですよね？

　当然あることが前提ですね（笑）。技術だけでは仕事には繋がらないということなんです。

　弊社で未経験からこの仕事を始める場合、まずは現場に出ながら工場で溶接の練習をしてもらいます。その後、先輩がつくったものを実際に溶接して技術をさらに磨く。この技術をベースに、簡単な図面からモノづくりを始め、最初にお伝えした3つの必要なスキル（図面読解力、知識、想像力）を高めてもらいます。

　ここまではあくまで基本的な溶接工としてのスキル。一人前と感じるには「冷静に周りを見渡せる」という要素が加わります。

　仕事である以上、顧客の要求する品質で効率的に作業を終えなければ利益は出ません。人には向き不向きがあり、すべての分野で秀でるには時間もかかる。そこで、ある技術が人並みであっても、技術レベルの高い職人さんをまとめることができれば仕事になる。それは現場での仕事を安心して任せることができるということになります。

自分の技術力を超える仕事ができるということでしょうか？

　そうです。私たちは日本一だと自負できる仕事をしています。自分のチームをつくりあげ、出来上がった仕事の成果は、チームをまとめた人の能力。一人ではできないことを可能にすることが、チームで仕事をする醍醐味です。

　弊社に所属する職人は少ないので、多様な業種の協力会社の職人さんたちに支えられています。大手のお客様から直接仕事を受けられるようになった理由は、組織として結果を出してきた成果だと思っています。

建設業未経験でも大丈夫ですか？

　問題ありません。なぜならどんな業界であっても必ず金属製品との関わりはあったはず。そこで経験したことを溶接に関連させれば良いだけ。過去の経験は必ずどこかで役立ちます。

　もちろん技術は重要。溶接未経験であれば、溶接を教えてくれる先輩と練習できる工場があります。ある程度仕事を覚えたけれど、苦手分野があればそれを補う仲間がいます。

　最後は本人のやる気次第。職人としての技術を極める道も、大きな仕事をする道も、独立することもできます。溶接工から始める将来の可能性は無限にあるはずですよ。