職人歴20年 瀬川 太一(41歳)
青森県出身。高校卒業後に上京するが、1年半後に地元青森に戻る。左官工だった父親の半ば強制的な勧めで左官工となる。父親の会社移籍について行く形で同社に転職。
(株)東京技官
左官工事を主に、ビルやマンションの新築工事をはじめとした内外装のリニューアル工事を請け負う同社。エリアは首都圏が中心。物流倉庫など大型施設が多い。
◆ 03・5939・9591
◆ https://www.tokyogikan.com
◆ 東京都北区中十条1-2-22
◆ 創業1961年 ◆ 従業員数 30人
自分のやりたいコト、自分の可能性が分からなかった。高校を卒業したての瀬川にとって、仕事は「とりあえずやらなければならないこと」でしかなかった。それは決して特別なことではない。瀬川は、ごく普通な若者だっただけだ。
「何をしても続かない自分を変えなきゃいけない。そのことを自覚していただけの若い頃、見かねた父が左官工の道を用意してくれました。父の教えは厳しく、仕事も辛さの方が多かった。でも振り返れば、楽しかった思い出なんです。今までで一番父と一緒の時間を過ごせた頃として」
瀬川の父親は一流の左官工だった。その父から叩き込まれた左官の技術と知識。知れば知るほど終わりの無い職人の世界だ。
「最初は意地だけで続けていた気がします。5年くらい経った頃かな? やればやるほど目標が先に離れるのが職人の世界だと気づきました。同時に自分の考えも変わっていたことも。新しいことを覚えたい。もっともっと上手くなりたい。そんな気持ちしかない自分になっていたんです。それから20年。今でも自分には伸びしろがあるつもりです」
材料や下地の違い、施工時の天候などで変わる技術。瀬川が求める技術はさらにその上。次工程の職人が必要とする、唯一の壁を塗り上げること。
POWER WORK248号 2021.10.4発行
Photos/ Katsunori Kuwahara, Composition/ ad-giga
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