職人歴20年 佐藤 祐哉(40歳)
埼玉県出身。サッカー推薦で大学に進学するが、社会で働くことを選択して中退。友人に建築系の職人が多い中、一味違う仕事を探したところ、さく井職人の仕事を選ぶ。
(株)東さく技工
井戸を掘り続けて83年。関東一円を中心に、民間ほか公共の工事も多い。井戸の目的は、建設現場での地下水除去、工業用水や農業用水の確保、水道資源としての利用など多岐に渡る。
◆ 03・3256・1271
◆ 東京都千代田区内神田2-16-11
◆ http://www.tousakugikou.co.jp
◆ 創業1938年 ◆ 従業員数 33人
水道の整備された現代社会。井戸に「桶を穴に投げ入れて縄を手繰り寄せて水を汲む」というイメージを持つ人は多いはず。その井戸を今もなお掘る仕事を佐藤は選んだ。少々の疑問と大きな興味を抱いて。
「井戸への固定観念が壊れるのは早かったですね。掘り方は想定外。仕上がりは予想外。井戸の目的は完全に知らない世界でした。映画で見かけるような井戸はありません。機械を使い、深いところでは数百メートル掘り下げます。完成した井戸は上水道に繋げる水源であったり、工場用水などで使用のほか、建設現場の土木工事の際に出る地下水を逃がす目的もありました。入社数年はその発見と感動の連続でしたね」
驚きの中で仕事を覚え、入社5年目で一級さく井技能士の資格を取得。その後、現場を収めるようになって15年経った今も仕事への興味は尽きない。
「都会の中にも井戸って本当はあちこちにあるんです。ただほとんど人が知らないだけ。だから多くの人にとって井戸掘りは未知の仕事。20年経った今でも、自分で面白い仕事している実感が良いですよね」
地層や地質などによって変わる工法。岩盤を含む土壌をビット(掘削刃:写真中央)で叩いて掘削するパーカッション工法は最深300mに達する。
POWER WORK245号 2021.8.23発行
Photos/ Mahoro Shimizu, Composition/ ad-giga
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