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特集!!|パワーワーク インタビュー「これからの時代に応える鳶業界。」(株)MTコーポレーション 西島 健一氏
現場を知る先輩 から現場を知りたい読者 へ
これからの時代に応える鳶業界。
建築現場には欠かせない架設足場を組み立てる鳶工事の会社。パワーワークの求人広告の中にも多く掲載されているけれど、それぞれの違いが分からない。そこで鳶工事の現場を裏から支える営業管理一筋33年。MTコーポレーションの西島氏に話を伺いました。
(株)MTコーポレーション 統括部長 西島 健一氏
時代の求めに合わせて変わってきた鳶業界。これからは職人の働き方が変わる。
西島さんが建築業界、また鳶の業界に入ったきっかけを教えてください。
西島 健一氏(以下、西島) 大学卒業時、鳶とは現場の花形をいう印象だけで具体的な知識はありません。ただしどんな現場でも足場は必要で、業界として伸びる予感はありました。その中で選んだ会社は当時創業2年目のクサビ式足場を請け負う会社。49歳で前の会社を退社する頃には関東でも有数の会社に育ち、非常に面白い経験をさせてもらいました。
そこでは多くの職人と出会い、独立のために相談を受けた人や独立後も交流を深めていた人もいました。今の会社の社長はその中の一人。大きく成長させる楽しさをまた実感できると確信して転職したんです。
33年前と今では、鳶業界もいろいろ変わったことがあったと思います。
西島 職人さんの質は特に変わったと思いますよ。私もいろいろ工夫しましたね。
現場とは施主さんや発注元、そして近隣住民の方に見られる場所ですよね。そこで当時の私たちは、制服を採用したりあいさつやマナーの徹底を始め、今までにない資質を何年もかけて職人一人ひとりに浸透させていきました。今では当たり前ともいえる鳶業界の姿ですが、これができた会社は、バブル崩壊後などの不況にも成長することができたと思います。技術力だけではなく、何をすればもっと喜ばれるかを考えるサービス業と同じですね。
現場の違いとしては、元々戸建て住宅などの低層用に使用されていたクサビ式足場が、ここ数年で大きな現場にも多く使用されるようになったことでしょうか。中層マンションをはじめ大型の施設にもクサビ式足場は使用されています。今の会社でも、新たな現場での対応を進めたことで利益は大きく伸びました。
▲チームプレーの足場工事。声掛けも近隣への配慮が求められる。
▲作業着は現場の印象を左右する。
「知る」ではなく「感じる」。自分にあった会社選び。
これからの鳶業界も変わることはありそうですね。
西島 今までは技術に加えた職人の質。周りからの求めに応じた対応への変革でした。これからは働く人自身への対応が大事。いつまでも安心して働ける会社づくりを進めています。
これまでも「稼ぎも大事だけれど、安定して働きたい」と思う人は年々増えていました。特に現在、新型コロナによって将来に不安を感じる人も多く、ウチでは急速に働き方の改善を進めています。
先ほど、大型現場にもクサビ式足場の導入が進められる話をしました。大型の現場は長い期間に渡って工程に沿って進められるので、一人親方として稼ぐには効率が悪い現場となってしまいます。一方、組織として職人を手配できる会社であれば予定が立てやすく、職人には体力的にも精神的にも余裕を持って作業に当たらせることが可能で効率が良い。一つの現場を長い期間関わることで、学べることも変わります。
最後に、自分に合った会社選びのポイントを教えてください。
西島 待遇などの分かりやすい情報だけでなく、雰囲気を感じること。ウチの場合ならまず社長を見て欲しいですね。社長が従業員みんなのことをよく知り、気兼ねない雰囲気をつくり、そこに職人全員が居心地の良さを感じている。その空気感を知ってもらえれば、長く働き続けられる環境かどうか感じ取ってもらえると思います。
▲8階〜10階建てのマンションでも架けられるクサビ式足場。高層ビルでも低層部の外壁工事のために使用される。
▲駐車場の建築現場。大きな現場ならではのチームプレーや施工技術、他業種との連携ノウハウが必要。
今回の取材協力は……
(株)MTコーポレーション ☎029-839-9566 茨城県つくば市中内444-1 設立2005年 従業員数36人https://www.mtcorporation.co.jp
つくば本社のほか、厚木営業所と千葉営業所を持ち、関東一円を現場に持つ同社。大型施設の現場が多く、資材を運ぶトラックもクレーン付き大型車を用意。協力会社同士で現場の都合をつけ合うなど、同社を中心にした仕事の幅が広がっている。
POWER WORK 221号 2020.8.24発行 インタビュー撮影●酒井一郎 構成・取材・文●アドギガ
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