生活スタイルによってフローリングや絨毯、畳など種類がある住宅の床。同じように仕事の現場にも目的に合わせた床づくりがある。その床を塗り仕上げる塗床(ぬりゆか)工事を紹介します。
床に塗材を施して仕上げる工事。厨房や工場、倉庫など環境によって求められる床の特性は千差万別。塗材や施工方法によって防水、防滑、耐荷重、耐摩耗、耐薬品などさまざまなニーズに対応する。
水平や傾斜を思い通りに出せるコテ使いこそ職人ならではの技術だが、その技術を補う専用の器具もある。
新人にも初日からコテを持たせる。社長の昆野さんによると、自分が塗床工事にのめり込んだ理由が「初日にコテ」だったからだ。
「コテの持ち方、角度、体重移動などで仕上がりは繊細に変わります。言い換えればコテ仕事はセンスが求められるんです。でもセンスや理屈は練習と経験で解決できるはずだと思いますよ。私は新人の頃、公園の砂場でコテの練習をしました。塗り上げる材料の重さの感覚がちょうど良いんです。体力の必要さも感じたのでトレーニングをするようにもなりました。ジムには今でも通っています。こうした湧いて出た意欲は『もっと上手になりたい』って気持ちがすべてでした」
当然ながら、新人の後にはベテラン職人の修正が必要になる。会社としては二度手間と言ってもいいはず。
「作業は下地処理や材料の仕込みもありますよね。工程のすべてを全員が同じようにできることがウチの持ち味。材料運びだってみんなでやれば良いんです。新人が自分から成長したい意欲を持ち続けられる環境を私は大切にしたい。それが結果としてみんなで達成していく良い仕事になるんです」
床表面の調整。塗材が絡みやすいように表面をザラザラにする。改修工事では既存塗料の剥離や凹凸の修正なども行う。処理方法や面積によっては専用機械を用いる場合もある
プライマーとは塗料と床表面の接着剤の役割を持つ下地剤のこと。表面に直接塗料を塗るのではなく、プライマーを薄く均一に塗り、乾いた後にベースとなる塗料を塗る
表面が水平になるように塗る。塗材は時間が経つにつれ硬くなるため、丁寧でありながらスピードある作業が求められる
今回の現場のように防滑処理が求められている場合、ベース塗装後に専用の砂を撒く。塗料に混ぜる場合もある
※塗材の仕込み 作業は塗料が乾くまでの時間が勝負。ベストなタイミングで正確に配合した材料を仕込む必要がある
完全に下塗りを乾燥させた後、上塗りを重ねて表面を仕上げる。不完全な乾燥や一回で塗膜を厚くすると剥がれたりムラが発生してしまう。入り隅など細かな部分は刷毛、広い部分はローラーが効率的
昔から母たちが現場で働いている様子は見ていました。特にみんなが一列になり、コテで塗り上げている背中がかっこよく感じていました。コテは簡単そうに見えたのですが、実際は思い通りに動かせない。でもコテを動かした分、塗材が床を敷き詰めていく感覚や一度始めたら止められないスピード感は、緊張すると同時に楽しいです。
茨城県水戸市笠原町146-2-103
☎029-357-0826
●創業2018年 ●従業員数4人
事務員として入社したはずの会社で現場を体験すると、一気にのめり込んだ昆野社長。10年ほどの経験を経て2年前に独立。職人たちのほか、機械メーカーや材料卸業
(写真後列)の協力を得て2020年4月に法人化する。スーパーや工場、土木工事のほか、首都高の舗装面塗装も手掛ける。
POWER WORK 215号 2020.5.18発行
撮影●清水真帆路 構成・取材・文●アドギガ
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