建設業界の多くの企業は、将来の人材不足に対して危機感を持ってさまざまな取り組みをみせる。アパートを始めとした住宅や店舗などを多数手がける大東建託もその会社の一つ。人材確保という課題に並び、品質の高度化や若手職人への技術伝承を含めて「全国 匠マイスター技能選手権」を開催。構想から実現に結び付けたのが、同社執行役員で工事統括部長の泉氏だ。
「弊社の建築現場には素晴らしい技能を持つ職人さんがたくさんいます。仕事のやり方には個性があり、今回、お互いの技術を競い合う形で個々のモチベーションが上がり、それが各現場に波及することを期待しました。また、現場は安全第一ですので一般の方はなかなか現場を見ることができません、そこでお子さんをはじめとした多くの若い方に見てもらい、『大工さんってカッコイイな』と、興味を湧き立たせるイベントにしたいと考えました」
同社に関わる施工会社で構成される大東建託協力会は1万社を超え、その職種は大工、設備工、外壁工、鳶など多岐に渡る。「次回はさまざまな職人さんも盛り込んだ技能選手権として拡大させていきたい」と同社施工品質管理部課長の加藤氏は語る。
「若年層の建設業界離れを何とかしたいという思いが根底にありました。イベントをしたところで人材不足という問題がすぐに解決するとは考えていません。しかし10年後、20年後に『一人でも多くの人が建設業界に入るきっかけになれば』という思いがあるからこそ、このイベントがあるのです」
会場では小さな子どもたちが大工の作業に目を見張り、その後、実際にDIYコーナーで釘とハンマーを持ち夢中になっていた。応援に来た仲間が他社の熟練の技術を見守る姿もあった。参加者、来場者、全員が会場で感じた何かが心に留まっている間、技能向上、技術伝承、そして建設業界への憧れという3つが達成されそうだ。
▲選手を応援する手作りの横断幕
▲熱の入った仲間たちからの声援。凄腕の技術には特に歓声があがる
主催:大東建託協力会
共催:大東建託(株)
競技内容:1〜2坪の天井・壁・床の当社施工基準に則った施工
評価基準:安全面、造作面を100点満点で採点
大東建託の現場で活躍する造作大工が技術を競うイベント。全国に約8000人いる大東建託協力会の造作大工の中から各地区20人が地区大会に出場。2019年の6月に開催された仙台大会を皮切りに、神戸、福岡、東京と4つの地区大会に出場した各20名のうち、上位5名が、2020年6月27日にパシフィコ横浜で開催される全国大会に進出する。
POWER WORK 211号 2020.3.9発行
撮影●桑原克典 構成・取材・文●アドギガ
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