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特集!!|最初は誰もが何も知らない新人だった『型枠大工への道』(株)真島建設
最初は誰もが何も知らない新人だった
『型枠大工への道』
木材を切り、組み立て、補強。多くの技術が求められる型枠大工。覚えることが多いからこそ、その魅力にハマった職人に、一人前への道の歩き方を聞いた!
(株)真島建設
山口 信一朗さん(42歳)◆職人歴12年
長崎県出身。職を転々と変えていたが、30歳の節目をきっかけに上京して真島建設に入社。型枠工事の魅力を発見した。
一つ分かり始めると関連した他の作業の意味も見えてくる。
この期間は楽しかったね
職人がつくったものは、完成時点ですでに跡形もなく撤去されている。しかし職人の跡は、建物が残る限り現場に留まり続ける。建物の形そのものを決定づける。それが型枠大工と呼ばれる職人の仕事だからだ。
山口さんは型枠大工として12年の経歴。この道に入って半年ほど経過した頃から少しずつ仕事の意味を理解してきたと話す。
「最初はなかなか型枠の仕組みが分からなかった。コンクリートを流す型を作るためにパネルを加工して建て込んで……。そこまでは分かる。でも補強するためにパイプやセパレータなどたくさんの材料があり、それぞれがどんな役割なのかが分かりづらい。それでも半年頃からかな。先輩が教えてくれる言葉の内容が何となく頭に入るようになってきた。一つ分かり始めると関連した他の作業の意味も見えてくる。この期間は楽しかったね」
若いうちは疑問を持つことが大事。最初は聞いたってちっとも理解できないと思うよ。
でもその後に理解するためのきっかけが必ずここにある。
建物の骨組みである鉄筋を囲むように型枠パネル同士を釘で固定。その釘は何本必要で間隔はどの程度? コンクリートの圧力で型枠が崩壊しないようにフォームタイ、パイプ、チェーンなどを使う。その使い分けや強度は?一つとして同じ建物は無い中で、分かったつもりの知識で判断することは
できない。自らの気づいてきた本当の理解が経験となり、どんな現場でも頼られる職人になる。
「若いうちは疑問を持つことが大事。次に疑問を先輩に聞くこと。最初は聞いたってちっとも理解できないと思うよ。でもその後に理解するためのきっかけが必ずここにある。先輩の動きを見ながら真似して、やってみて、経験を重ねて……。しばらくするといくつもあった疑問が一つに繋がって明らかになるんだ。その瞬間は爽快で、俺もたくさん感じてきたね。確かに自分の努力は必要。その努力を続けられるように、そしてこの仕事が好きに思えるような教え方を俺はしたいね」
今回の取材協力は……
株式会社 真島建設 埼玉県所沢市元町3-4 TEL.04-2924-7710 創業:1988年 職人数:約20人
都内と埼玉県をメインエリアに型枠工事を請け負う同社。現場は主にマンションが多い。ここで一人前になるためには学歴や経験は関係なし。ヤル気と努力で独立を果たした職人も多数いる。
POWER WORK 210号 2020.2.25発行 撮影●清水真帆呂 構成・取材・文●アドギガ
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