職人歴12年 型枠工 山口 信一朗（42歳）
長崎県出身。中学卒業後、アルバイトでさまざまな仕事を経験していたが、30歳の節目をきっかけに上京。家族の紹介で同社に入社。以来、型枠工として経験を積み、多くの現場を仕切る。
（株）真島建設
都内と埼玉県をメインエリアに型枠工事を請け負う同社。現場は主にマンションが多い。ここで一人前になるためには学歴や経験は関係なし。ヤル気と努力で独立を果たした職人も多数いる。
◆埼玉県所沢市元町3-4
◆☎04・2924・7710
◆創業1988年 職人数約20人
自分の弱さを認めた上で、その自分にうち勝つ意気込み。それを山口は〝意地〟と呼ぶ。未経験だった山口にとって、建設業は想像以上に過酷。それでも厳しさに負ける自分を許すことはしなかった。
「30歳まで、何も残してこなかった自分の生き方を変えたかったんです。だから上京して心機一転。最初は体力的にも厳しく、嘘でも『平気です』とは言えない状況。それでも辞めなかったのは意地ですね。辛さに負ける自分を許したくない。理由を付けて逃げたくなかったんです」 山口の奥底に根付いている九州男児という誇り。自分の弱さを見つけ、そして打ち勝つことを選んだ。
「半年後には仕事に面白さを感じていました。5年経った頃には責任という新たな厳しさを知りましたが、現場全体を仕切るという別のやりがいが生まれました。誰でも辛いと思う時期はあります。その辛さを受け入れ自分の弱さを克服したとき、新しい自分になれた気がします」
負けず嫌いの性格は昔から変わらない。若い頃は誰かに対して勝つことを求めていた。その意識を他人から自分に方向を変えたとき、山口は一人前の職人の道を歩み始めた。
POWER WORK 208号 2020.1.27発行
撮影●清水真帆呂 構成・取材・文●アドギガ
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